LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

サイドウェイ SIDEWAYS

前略、元気ですか?

今日もまた、映画を見て来ました。

ここ最近、あまり映画を見に行くことに積極的になれず、

今どんなのが公開されているかもチェックしていませんでした。

でも、せっかくの休みなんだけど、

君に会いに行くこともできないし、やっぱり映画でも見るか、

と思って行って来ました。

この映画を選んだ理由はアカデミー賞の脚色賞とやらを、

獲ったと、どこかで読んだからです。

でも、どんな内容なのか、全くチェックしていませんでした。

ただ、映画館の前のポスターをちらっと見たくらいです。

だから、僕は全く違う想像をしていました。

ポスターでは、原野(?)みたいなところで、

(実際は原野なんかじゃなかったけどそう見えたんだ)

数人の人がワインを飲んでいる。

このポスターと、アカデミー賞で何か獲ったということは、

感動の大作なのかな?

あと、サイドウェイってことは横道にそれたとかそんなことか。

ということで、僕はこんな映画を想像していました。

時は、西部開拓時代からそう遠くない頃。

まだアメリカでワインの生産は始まっていなかった。

(実際にいつごろからぶどう栽培しているのは知りません。)

そこに、ワイン用のぶどうを栽培しようと試みた男達がいた。

そうしてぶどう栽培が始まったが、なかなかうまくいかない。

そんなある時、ある事件が起き、

主人公は困難な状況に陥る。

懸命に状況を打開しようとするが、

うまくいかず、主人公は挫折を余儀なくされ、

夢やぶれ、彼の人生は夢見たのとは別の道へ・・・

ところが、運命のいたずら、人生の皮肉、

予期しなかったことから、主人公に再びチャンスが。

そして、成功し、夢を実現する主人公。

あの時の横道は実は横道ではなく、

成功の為に必要なことだったんだ。

人生の皮肉と歓びが、涙を、涙が感動を呼ぶ超大作。

自然と闘う男達の人生の輝き・・・・

と、まあ、こんな感じかなあ、と思って見に行ったわけです。

・・・

・・・

全然違う。

180度違いました。

そして、むちゃくちゃ面白かったです。

主人公のマイルスは、もはや中年と言える国語の先生です。

でも、作家になることを夢見ていて、作品を出版社に売り込んだりしてるけど、

あまり見込みはなさそう。

数年前に離婚を経験しているが、

前の奥さんをきっぱり忘れて別の道へ踏み出すこともできない、

という、現代的な悩める男です。

彼の趣味はワイン。

ワインに関してはプロも顔負けの知識を持っています。

一方、マイルスの友人で、

売れない俳優のジャックは、1週間後に結婚を控えています。

マイルスとジャックは、ジャックの結婚を祝して、

カリフォルニアのワイナリーなどを廻る旅行をすることになっていて、

出発するところから映画は始まります。

ジャックは、今はあんまり売れてないけれども、

かつては、レギュラー番組を持っていたこともある俳優で、ちょっといい男。

実は、この旅で、結婚前、最後の最後に、

思う存分女の子と遊びまくろうと思っています。

そして、まだ前の奥さんのことをふっきれないマイルスには、

お前も女の子と遊ぶべきだ、と言っています。

そんな二人は、マヤとステファニーという2人の女性と知り合い、

ジャックとステファニーはいい感じに。

一方のマイルスとマヤは・・・

という話。続きは劇場で。

時間があったら是非見て下さい。

とても面白くて、劇場でも何回も笑い声が起こっていました。

ワインの話がたくさんでてきます。

僕はワインなんて全然詳しくなくて、

昔読んだ村上龍の小説に、オーパス・ワンっていう、

アメリカのワインが出てきたなあ、というぐらいです。

このオーパス・ワンも映画の中で出てきました。

音楽はずっとジャズが流れていて、ああいう音楽は、

小粋な、とか、都会的な、とか形容されるものかも知れないケド、

カリフォルニアのワイナリー巡りをするという設定で、

はっきり言っていなかなんだよね舞台が。斜面にぶどう畑が広がっている。

だから映画の雰囲気が必要以上に都会的にならなくて、

それが良いのかな、と思いました。

これが都会が舞台で、洒落たバーとかレストランで、

スーツかなんかで決めて、ワインの薀蓄を語ってたりしたら、

なーんか気取った感じで、マイルスが前の奥さんのことを悩んでいるのも、

ちょっとありがちに見えて、しらけてしまったんじゃないかな。

そして、いろいろな事が起こって、

結構ドタバタな事が起こるところもあって、

何回も笑えるんだけど、その笑いっていうのが、

あるラインを超えたバカ笑いにはならない、というか、

笑いだけにならずに、笑えるけど、ちゃんとストーリーも楽しませてくれる、

という感じでした。

なんかそういう、都会的さ加減とか、

マイルスの悩みに深刻さ加減とか、面白さ加減とか、

そういったいろんなものが、ワイナリー巡りという設定や、

ワインという小道具とか音楽とか、もちろん登場人物のキャラクターとかで、

うまく、こちらが楽しんで見られるところにバランスされている、

という感じがしました。

久しぶりに、見終わって、「あー、面白かった!」と思う映画でした。

今年は、「スイング・ガールズ」でも「あー、面白かった!」と思ったけど、

僕的には、こっちの方が面白かったかも知れません。

君と一緒に見れたら良かったな、と思いました。

こんな風に楽しめる映画を見て、食事とかして、面白かったね、

なんて話したり。

そういうのって、いいよね。

あ、そう言えば、この映画の公式サイトで、

いくつかの質問に答えると、自分に合ったワインを教えてくれる、

というコーナーをやってます。

僕の結果は、「シャドルネ」でした。

「少し真面目すぎる面もあるかもしれませんが、

 ワインでリラックスして異性を口説けば相手もメロメロでしょう。」

だって。

それでは、また手紙を書きます。

今度、一緒に映画に行こう。

公式サイト

http://www.foxjapan.com/movies/sideways/index.html

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