LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

アリア air

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前略、元気ですか?
今日は、結構遅くまで仕事の予定だったんだけど、思いの他早く終わってしまい、普段だったら、同僚と飲みに行くか、さっさと帰るか、というところだけど、仕事が予想外に早く片付いた解放感からか、通勤途中の駅にあるミニシアターに行って、映画を見てきました。

大阪では、この小さな映画館で、1日1回、21:00から上映のこの映画、タイトルは『アリア air』といいます。公式サイトを見ると、長野県の諏訪が舞台のラブストーリーで、初恋という言葉が見えたりして、美しい雪景色と切ないストーリー、といった雰囲気。そんな映画に、心洗われるのも、たまには良いかも知れない、と思って見に行きました。

と、そんなわけで、20時50分ぐらいに、映画館に行くと、なんと客席は僕一人でした。やっぱり、ウィーク・デイの夜9時から、さびれたミニ・シアターで映画を見よう、なんて人はあまりいないんだろうなぁ。もぎりのお兄ちゃん、ゴメンよ。僕が来なければ、今日は早く帰れたのに。

さて、そんな感じで見始めたこの映画、確かに映像は綺麗。登場人物の吐息が聞こえてくる様な、音の撮り方も相まって、ちょっと独特な感じです。

でもなぁ、ストーリーがなんともかんとも。思春期の少年少女が、読む人の事を全く考えずに、描きたいことだけ描いた下手な少女漫画みたい。と、言うと、漫画を描いている若者たちに怒られるかも。という感じなんだよなぁ。

ストーリーについて、考えちゃいけない映画なのかも知れません。

昔、理科の授業で、その辺の池の水を、ガラス瓶に採って来て、ミジンコとかが、泳いでいる様子を観察したことがないかな?あれって、見ていて飽きないってことなかった?ミジンコじゃあ、例が悪いから、クリオネにしようか。水槽の中で、クリオネが2匹ぐらい泳ぎ回っているのを、眺めているとしよう。

きっと、飽きないと思うんだよね。彼らは言葉を持たないけど、仮に、なんらかの方法でコミュニケーションを図っていると想像して見て。もし、そうだとしたら、彼らはどんな事を、話しているんだろう。もし、聞くことができたら、それって、意外とくだらないことだったりするんじゃないか、と思わない?

人間のすることも、外から、別の存在が眺めていたら、同じように、下らなく矮小な事ばかりに見えるんだよね、きっと。でもそれが僕達の営みってもんで、矮小かも知れないけど、そこにこそ僕達の喜びや悲しみがあるわけで、大切で美しいものなんだ、多分。クリオネの世界にも、彼らが生きる喜びや悲しみがある、と思ったら、泳ぎ回る彼らを見て、やっぱり、とても貴重で美しいものだと思えて来ないかな。

この映画は、もしかしたら、そんな美しさを描こうをして、うまく行かなかった、という感じなのかな、と思いました。

では、また手紙を書きます。
いつか、一緒に映画を見にいこう。