LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

天賦の才(3) リトルマン・テイト

こんばんは。

今日は、天賦の才能もしくは、
天才の出てくる映画の3本目です。

僕は今日の映画はとても好きで、
はじめて見た時、とても感動しました。

リトルマン・テイト という映画。
監督は、女優のジュディ・フォスターです。

この映画が公開された時、
テレビのコマーシャルで随分流れていたような記憶があります。
タイトルが「Little Man Tate」そのままなのですが、
そのCMのナレーションが、「リトルマンテイト」という、
一つの言葉の様に聞こえて、なんだ?と思ったことを覚えています。
何かの呪文か?とか。

この映画が公開された時は、
僕は、受験を前にした時期で、映画館へ見に行く暇はなかったんだよね。
それで、後から見て、おー、これがあの時の「リトルマンテイト」か。
「テイト」って、ただの名前じゃん、と思ったわけです。

この映画、映画評なんかを読んでも、
ジュディー・フォスターが監督ということで、
それに着目しているものが多いんだよね。

天才子役と言われて育った、
ジュディ・フォスターだから撮れた天才の孤独

だとか、

ジュディ・フォスターの監督第一作として注目されたが、
ジュディ・フォスターとダイアン・ウィーストの、
実力派同士の演技合戦に終始した。

とか、

ジュディ・フォスターが精子バンクの精子から、
子供をつくっていて、その事と、この映画の関連、

だとか....
あまり映画の内容だけに触れているものが無いんです。

まあ、こういう事もこの映画を見る上で、
興味深いことではあるんだけどネ。

ジュディー・フォスターは、
酒場で働くシングルーマザー「ディ・ディ」。
フレッドという名の7歳になる子供がいます。

フレッドは、7歳にして、物理や数学、
そして特に音楽や絵画などの芸術方面に、
突出した才能を持つ天才です。
でも、環境問題に悩み、胃潰瘍になってしまったり、
その才能から学校では周囲から浮いてしまい、
友達がいないことを悩んでいたりする。

ディ・ディは、フレッドをとても大事にしていて、
2人だけだけれども温かい家庭をつくっています。

一方、ジェーン・グレアソンという人物がいます。
彼女は自らも天才であり、
天才児を集め英才教育を行う学校を、営んでいます。
フレッドの才能にも目をとめ、入学を勧誘するわけです。

フレッドが天才として注目され、
ある種見世物の様な環境で育つことを望まないディ・ディは、
入学させることを拒否すんだけれども、

フレッドの現状を見ると、
学校で、周りに受け入れられていなかったり、
ディ・ディの収入や、今の環境では、
フレッドの才能に対して、十分な教育を与えることが、
難しいという面もあります。
今の自分との生活が必ずしも、
フレッドにとって良いとは言い切れない。

この辺の、ディ・ディの悩みは、
見ていてちょっと心にせまるものがありました。

結局、ディ・ディはフレッドを、ジェーンに預けることになります。
これによって、フレッドは今まで経験できなかった、
周りの人々とのかかわりといったものを経験することに、
なるんだけど、

もう一人、それまで経験してこなかった事に直面する人がいます。

それがジェーン・グレアソン。
彼女は、自分も天才として育ってきており、
強い親子関係や、日常生活における様々なことを、
経験してきていないんです。

フレッドと生活する様になって、
そんな、自分に欠けているものに直面し、
ジェーンはとまどうことになります。

ダイアン・ウィーストがこの、
ジェーン役をやっています。
このジェーンは、映画の中で、終始、
どこかとまどっている様に見えます。

そして、もう一人印象的な登場人物が、
ミュージシャンのハリー・コニックJr。
フレッドが大学で知り合う、エディという男の役をやっています。

エディは、偶然、フレッドと知り合い、
一緒にピアノを弾いたり、プール・バーで、ビリヤードをしたりと、
とても仲良くなります。
友達のいないフレッドにとっては、とても嬉しい経験をさせてくれます。

さて、子供なのに胃潰瘍になるような少年だった、
フレッドは、どうなるんだろうか?
フレッドにとっての幸せとはどんなものなんだろうか?
それは見てのお楽しみにとっておきます。

この映画を見て、僕が思ったのは、
悪い奴が出てこない映画だな、という事です。

そして、「グッド・ウィル・ハンティング」の、
自己実現的な「解放」とも、
「小説家をみつけたら」の他者との「交流」や「友情」とも、
ちょっと違う、もっと足元の幸福を見せてくれていると思います。
結局、一番当たり前の解答なのかも知れないけど、
やっぱりそれが大事なのかな。

僕はこんな「幸せ」を、
つくって行くことが出来るんだろうか?
君はどう思う?

それでは、天賦の才能、もしくは天才シリーズは終わりです。
また、手紙を書きます。
今度、一緒に映画を見に行こう。

「天賦の才(1) 小説家をみつけたら」はこちら →
「天賦の才(2) グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」はこちら →