LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

恋人までの距離(ディスタンス) Before Sunrise

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離

前略、元気ですか?
久し振りの手紙になってしまいました。
気がつけば、10月もあっという間に過ぎてしまった。昔、「10月はたそがれの国」というタイトルの小説を読んだ事があるよ。それは短編集で、いろいろな話が詰まっていたけれど、僕の10月は、相変わらず忙しく、感慨や、もの思いにふける暇もなく過ぎ去って行こうとしているかな。

君はどんな10月を過ごしたんだろう?

ところで、以前、「ビフォア・サンセット」という映画を見ました。
http://letters.cocolog-nifty.com/movie/2005/02/_before_sunset.html

その時に、「ビフォア・サンセット」は、ある映画の続編にあたるということを書いたけど、その、ある映画、というのが、この「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」なんだ。ずっと見たいと思っていたんだけど、やっと見ることが出来ました。

ちなみに、この映画が公開された時は、「恋人までの距離(ディスタンス)」というタイトルだったみたいだけど、DVDやビデオは「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」というタイトルになっているみたいだよ。

列車の中で偶然出会った一組の男女。二人は意気投合して列車を途中下車し、ウィーンの街をあてどもなく歩く。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがてお互いの生活に帰る朝がやってくる……。
allcinema online恋人までの距離(ディスタンス)

こりゃあ、夢のよう、本当に夢のような出逢いだな、と思いました。

偶然に出会った二人が、ずーっとしゃべっているという映画なんだけど、その会話の内容にとてもドキドキしてしまうよ。思い出すのも恥ずかしいけれど、僕達にだって、所謂、「恋に恋する」時代があったよね。あったと思われる?
そんな、「恋に恋する」ような時期に想像する理想の出逢いを、映画にしたかの様な感じがしたよ。

偶然素敵な異性に出逢って、話して見る。そしたら、意気投合して、さらに、自分が本当に感じて、大事にしている考え方や、自分が抱いている理想とか、普段、他人に明かすことのないような領域を見せても、それを相手が分かってくれる。

君も、そんな出逢いを、想像をした事があるんじゃないかな?それを映画にしたのがコレなんだ、と思う。ちょっと自分の思うことを言ってみて、相手の様々な反応にドキドキする、そんな感じに引き込まれて、こっちまでドキドキしながら見てしまったよ。

amazonのページで、レビューを見ると、2人が話している内容が理屈っぽい、という評価が幾つかあったけれども、それは、仕方が無いと思う。だって、2人は、自分達の経験や現実の話をしているんじゃなくて、これから先に訪れる、まだ経験したことの無い未来、自分のこれから先の人生、そんなものに対して、抱いている思いや理想の話をしているんだから。だから、必然的にそうなるんだと思うよ。それに、出逢った2人が、そういういわば夢を語るから、この映画はこっちまでドキドキして見ることが出来るんだと思う。これが、地に足の着いた話とか、それとも、当たり障りの無い話とかしているのを見ても、きっとつまらないよね。

さて、出逢いの後には別れが訪れるわけで、映画は、これからの2人はどうなるんだろう、という風に終わるんだけど、そのこれからの2人は「ビフォア・サンセット」で見ることが出来ます。

僕は、先に「ビフォア・サンセット」を見てしまったので、分からなかったけど、この「恋人までの距離(ディスタンス)」でのジュリー・デルピー演じるセリーヌは、とても美しいと思ったよ。若くて未来に対する意思を持った女の子で、見た目も美しいけど、そのあり方自体も美しい、と言うような。続編の「ビフォア・サンセット」では、そんな女の子だったセリーヌが、その純粋さや、意思をそのままにオトナになって、ままならない現実との間で苦しんでいる、そんな感じが良く出ていたかも知れないなぁ、と思いました。

相手役のイーサン・ホーク演じるジェシーの方は、若い時の方が断然素敵だ。オトナになって、その純粋さやなんかも、ちょっとボヤけてしまった、という印象だったかな。ついでに言うと、顔の切れもオトナになってイマイチか(笑)

というわけで、今日はこの辺で終わります。機会があったら、「恋人までの距離(ディスタンス)」、「ビフォア・サンセット」の2本、見てみてよ。
そして、この映画について話そうよ。では、また。