LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

ライフ・イズ・ミラクル Life is a miracle

日本版劇場オリジナルポスター(大きいサイズ)★『ライフ・イズ・ミラクル』 ライフ・イズ・ミラクル [DVD]

■公式サイト
http://www.gaga.ne.jp/lifeismiracle/

前略。元気ですか?
ライフ・イズ・ミラクル』を見て来ました。

この映画の監督は、エミール・クストリッツァ、という人で、カンヌやなんかで、たくさん賞を獲っている人なんだけど、僕は今まで見たことがありませんでした。

この映画を紹介している文章をくつか読んで、恋愛ものなのかと思っていたんだけど、全然違った!恋愛のレの字も始まらないうちから、なんだこの映画?スゲーじゃねーか!!!!という感じ。

音楽が良いよ。まるでミュージカルみたい。ちょこちょこ出てくる表情豊かな動物達。アニメの様な動きの郵便配達。そう、最初のうちは、ちょっとディズニーのアニメを連想していました。白雪姫とか。歌や自然に囲まれ、動物達と共に、楽しく暮らす人々。(ちょっと的外れかな)でも、そこには明らかに、紛争の影が。

1992年、国境近くのボスニアの村で暮らすルカは、鉄道建設のために働くセルビア人技師。ある日、息子のミロシュが兵役へ行くことになり、妻は、ミロシュの壮行会で出会ったミュージシャンと駆け落ちしてしまう。10年ぶりに一人暮らしを楽しむルカに、やがて、ミロシュが敵の捕虜になった知らせが届く。気が気でないルカに、村の悪戯者トモが、ムスリム人看護婦サハーバを連れてきて、ミロシュとの人質交換に使うよう仕向けるが…。
TSUTAYA onlineライフ・イズ・ミラクル
http://www.tsutaya.co.jp/cinema/cinema_info.zhtml?TITLE_ID=6853

この映画は、どんな状況にあっても、愛することが力になる、ということを言っていて、それは、とてもシンプルで、普遍的なコトだなあ、と思いました。

僕達にとって、大切なことは、もしかしたら、みんなシンプルなのかも知れないね。

ところで、映画の中で苦悩する、主人公ルカを見ていて、この顔、誰かに似ているなあ、と思いました。

誰だろう、誰だろう、と思いながら映画を見ていて、後半、やっと分かりました。その顔って、サッカーの名古屋グランパスに来ていた、ストイコビッチや、テニスのイバニセビッチの顔なんだ。つまり、旧ユーゴというか、あのあたりの人の顔なんだ、というワケ。

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アイツらこういうとこから来たヤツだったんか、というか、彼らは、こういう背景を、こころならずも、持ってしまった人だったんだな、ということをちょっと思った。ストイコビッチは、日本に来てからも、よく、”祖国”という言葉を使っていたな、という印象があるけれど、それは、そうやって、常に自分が、どう考えるのか、整理していないと、自分のやるべき事にも取り組めない、という感じだろうか。そして、彼らの様な、世界的なアスリートという立場だと、紛争中の自国についてのコメントを、求められるような事も多々あるだろう。

そういう時に、何を根拠に考えるか、というと、結局さっき書いたようなシンプルな真実、しかないんだろうなあ。なんて言うか、”見識”って、そういうもんかな。知識としての”見識”ではなく、生きていく為の”見識”。

この映画は、そういった”見識”の1つを僕達に示してくれているんじゃないかな。

なーんて、映画を楽しむには、あまりに野暮な思考が、僕の頭を掠めている間も、映画は進んで行き、最後には、大満足で見終わりました。

是非、君にも見て欲しい。そう思ったよ。それに、この監督の映画、他のも見なくちゃ。とも思いました。

僕達は、ストイコビッチや、イバニセビッチみたいな、有名人ではないから、コメントを求められるなんていう事はないけど、生きて行く為の”見識”を積み重ねていくことが、僕達を生き易くしてくれるとしたら、僕達は僕達の”見識”を持つことが必要なんだろうか。この映画がそんな見識の一つを示しているとして、僕達が、僕達の”見識”を持つ元になるのは、きっと僕達の"経験”だ。

だから、今度、デートしよ。僕達は、僕達の人生を謙虚に楽しんで、僕達の”見識”を積み重ねよう。デートはその第一歩だよ。

何、莫迦な事言ってるの?

と、君に言われそうだね。まあ、なんでも良いや。僕が言いたいのは、僕達が、僕達の人生を楽しむ事と、”見識”を持つという事は、矛盾しないハズだ、という事だよ。

というわけで、また手紙を書きます。
では、またね。

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