LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

殺したいほどアイ・ラブ・ユー I Love You To Death

殺したいほどアイ・ラブ・ユー

前略。
元気ですか?
今日、僕は、今月に入ってやっと2回目の、シゴトが完全に休みの日です。ちょっと前に、映画のDVDを買ったんだけれど、その映画のことを書こうと思っています。

それは、『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』という映画。

白状すると、僕がこの映画を初めて見たのは、君と知り合って、ちょっと時間が経ったという頃。最初のうちは、たまに電話で話したりするだけだったのが、会う機会を作るようになり、そのうちしょっちゅう一緒に行動する様になったよね。だんだんお互いのコトが分かって来て、君への気持ちを意識するようになり、そして、君もそうだろう、というコトが信じられる、そんな時期。

そんな時期にちょうど、年末年始を迎え、2人とも、正月は実家で過ごすということで、どうせならずっと君過ごしたいかも、なんてちょっとした寂しさを感じながら過ごしていた年末に、テレビで深夜、リバー・フェニックス特集、というのをやっていたんだ。彼の出演作を1日2作品くらいずつ、2晩放送するという企画でした。

その中で、この作品が放送されていて、なんだか、とても良いなあ、と思いました。他に放送されていたのが、結構シリアスな作品だったせいか、君とのコトでバラ色の頭で見たせいか、この映画が、何か、光を放っているような気がしたんだ。

ま、今考えると、それほど絶賛するような映画でもないか、という気もするけど、でも、この映画には捨てがたい良さがあると思うんだよね。

僕は、リバー・フェニックスというと、両親が指名手配されていて、家族で一緒に逃亡生活をしている、その息子役をしていた映画が、なんか印象に残っていて、なんていうか、シリアスなイメージしか持っていなかったんだよね。
■goo映画 : 旅立ちの時
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD5527/comment.html

でも、この映画はコメディーなんだ。しかも、彼のやっている役というのが、ちょっと暗くて、上手に自分を表現することができないようなタイプ。『スタンド・バイ・ミー』のでやっていた、仲間達のリーダー的な存在とは正反対なんだ。ほぇー、こんな役もやってたのか!という感じです。アメリカの映画だけど、アメリカ的にはあまり評価されないタイプの人間なんじゃないかな、この役は。

リバー・フェニックスのことから書き始めたので、ついでに書いておくと、この映画には、無名な頃の、キアヌ・リーブスが出ています。マーロンという、麻薬常用者の役。笑えるよ。

さて、この映画、どんなハナシなのかと言うと・・・

街で評判のピザ屋を経営する陽気なイタリア人ジョーイは、働き者で子供をこよなく愛する模範亭主。しかし裏では、妻ロザリーの目を盗んで情事を重ねる浮気の常習犯であった。ある日ジョーイの浮気現場を妻はとうとう目撃、怒りと悲しみで錯乱状態に陥ったロザリーは、彼女に思いを寄せる店員ディーボや母親と共謀して夫殺しを企てるが・・・
■『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』DVDパッケージから

夫殺しを企てるが・・・このジョーイ、殺しても殺しても死にません。まったく、ブルース・ウィルスよりも、ダイ・ハードなんだ!そして、殺しても殺しても死なないジョーイに、この夫殺し騒動、どんどんエスカレートして行きます。

でも、このあたりの展開が、この映画のすごく良いところの一つなんだ。みんなして、よってたかってジョーイを殺そうとするんだけど、そうなればなるほどに、登場人物達の人の良さが見えてくる。ジョーイの妻ロザリーや、その母親、そして店員ディーボといい、良い人達だなあ、と思えてくるよ。

さっき、リバー・フェニックスの役を、アメリカ的には、あまり評価されないような性格だと、書いたけれども、そりゃあ、自分をおもてに出して、明確に表現できたら、それは良いことだけど、そう出来ないからって、そう出来ない人間に美点が無いわけでも無い。ジョーイにしても、とんでもない浮気者だとしても、そのコトだけで彼を評価するべきではないかも知れない。人間誰でも、良いところも悪いところもあり、だからこそ愛すべき存在なんだな、多分。

この映画、冒頭に、「これは、本当にあったコトを元にしています」という意味のテロップが出てくるんだけど、あー、そうか、アメリカって、移民の国だったな、というコトを思い出します。ジョーイはイタリア人、そして、妻ロザリーと、その母親はユーゴスラビア人。そんな、種々雑多な人々が一緒に暮らしている中で、誰かが誰かを想う気持ち、というは、みんなが共有できるものの一つなんだろうなあ、とそんなことを思います。

というわけで、この映画、リバー・フェニックスや、キアヌ・リーブスのコメディーぶりを楽しめて、殺しても殺しても死なないジョーイを巡る騒動に笑えて、そして、最後には、なんだか、自分の周りの人達を信じても良い、という気分になってくる、そんな映画です。

だから、僕はこの映画が好き。おすすめです。
君にも、この映画を楽しんでもらえたら、とても嬉しいな。もしかしたら、君は、ジョーイのようなヤツには、鉄拳制裁だ!なんて言うかも知れないケド(笑)

では、今日はこの辺で。

また、手紙を書きます。
今度、一緒に映画を見に行こう。