偶然の出会い?
前略、元気ですか?
とても久し振りの手紙になってしまいました。
相変わらず忙しくて、気が狂いそう。
君に手紙を書いている暇もありません。
おかしいね。
忙しい生活の中で、
どこか優先順位が違ってしまっている、という気がしています。
僕にとっての一番の重大事は、
決して仕事じゃないはずなのに。
昨日は、ひとり、ボーっと、 君と出会った時のことを思い出してしまったよ。
この世界は、奇跡に満ちている、と思うんだ。 僕と君が出会ったことだって、もちろん偶然だったわけだけど、 それは、あらゆる確率を縫って起こった一つの奇跡だったとも思える。
こんなことを言っていると、 君は、とんだロマンチストだと笑うかな? いったい、何が起こったの?なんて思っているかも知れないな。
まあ、心配しないで、ちょっとだけつき合ってよ。
僕達の生活の中で、 海が割れたり、そんなことって起こらない。 でも、きっと今のこの瞬間もどこかで誰かと誰かが出会っている。
そして、その出会いから、 僕達はいろいろなことを思い、 いろいろなことを感じ、いろいろなことをする。 この世界で起こることは、全部、そうやって始まるんだ。
だから、この世界がこの様であることが、 奇跡のなせるわざなのかも知れないよ。
台湾の話です。 翻訳を仕事にしているイブと、 売れないバイオリニストのジョンは、 アパートの隣同士だけれども、お互いに面識は無い。
ある日、二人は出会って、 お互いが、遥か昔、学生時代に、 恋心を抱いた相手だと気付く。
そして二人は電話番号を紙に書いて交換するけれど、 その紙は雨に濡れ、インクが滲んでしまい、 電話番号を読めない状態に...
ここからの二人は、 出会えそうで、出会えないんだ。 隣に住んでいるのに。 そして、二人とも、一生懸命、相手と会おうとしているのに。
この映画は、イブ役のジジ・リョンという女優さんが、 とても素敵だと聞いて、思わずDVDで見てしまいました。
ジジ・リョンの相手役は、金城武です。 二人とも、とても、好感が持てる感じ。 他に、ジョンとイブが出会うことを妨害する二人組が、 出てくるんだけど、この二人のおばかぶりも楽しいです。
いつの間にか、 なかなか出会えない二人を、 応援する気分になりました。
ちなみに、最後の最後は、 あー?こういう展開にして、この後どうするつもりなんだ? と思ったらコレかい!?
という終わり方でした。
でも、とても面白かったよ。
これも、出会えそうで、出会えない映画。 アメリカはボストンの話です。
看護婦のエリンは、 つきあっていた男に振られてしまう。 配管工のアランは、 海洋学者を目指しているけれど、 なかなかうまくいかない。
毎日同じ電車で通勤している二人。
でも、出会わない。
エリンは、母親が勝手に出した、 恋人募集の広告のせいでてんやわんや。 アランがバイトしてる水族館ではゴタゴタが・・・
映画はこの二人が、 いろいろなところで、すれ違うのを見せてくれるケド、 全然、出会わない。いったいどうなるの?
この映画は、もうかなり前、 徹夜で仕事をした土曜日の朝に、 銀座で見ました。
全編、ボサノバが流れている、 と聞いて、見に行ったんだけど、 結構、ポピュラーなボサノバがたくさん流れていました。 歌詞の内容を知っている身としては、 いまいち、歌詞と映画のシーンが合ってなくて、 なんじゃらホイ?という気もしたけどね。 映画はおもしろかったよ。
実は、もうひとつ、 出会えそうで、出会えない映画があるんだ。
だけど、僕はまだ見たことがありません。 タイトルも分からない。
学生時代に、映画雑誌の記事か、 映画本か何かか、とにかく、何かで、 ある映画の紹介記事を読んだんだ。
舞台はヨーロッパ。 今日書いた映画と同じ様に、 出会えそうで出会えない男女に、 観客がハラハラ、ドキドキさせられる、 と書いてあって、それを読んで、 「この映画、見たい!」 と思った、という記憶があるんだけど、 全然分かりません。 男性監督で、横文字の名前だった・・・
君は知らないかな? これだけの手がかりじゃ無理か。
でも、いつかこの映画に出会うことが出来たら、 多分、僕はとても幸せだろうな、と思います。
出会いというのは、不思議なもので、 出会えそうで出会えない二人、 というストーリーを借りて、みんな、 人と人が出会う素敵さ、偶然の出会いが必然に変わる感動、 そんなことを伝える為に、人はこんな映画を作るのかも知れないね。
では、今日はこの辺で。 今度一緒に映画を見に行こう。
その映画が、今日の、 僕が思い出せない3つめの映画だったりしたら、 どんなに素敵だろう?
その時には、僕達も、 運命について語り合ったりしてしまうんだろうか?
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