LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

ビートキッズ

前略、元気ですか?

久し振りに映画館で映画を見て来ました。

ビートキッズという映画です。

他にも見たい映画があって、迷ったんだけど、結局これにしました。

というのも、君も知っている通り、

仕事で、大阪に来てもう2年以上経つのに、

あまり、観光っぽいことをしていなくて、どこも行っていないんだよね。

もちろん、日々の生活や、周りの人達なんかに、

大阪というか関西を感じたりすることはあるけれど、

電車すぐなのに、京都にも行ってなけりゃ、

祇園祭りも見てないし、岸和田のだんじりも見てない。

それで、この映画は、地元の話だと言うし、

大阪府岸和田市が全面協力?で、

だんじりが重要な意味を持つということで、

これを見てみようかな、と思ったわけです。

映画の冒頭、豊川悦司が出てきます。

彼は主人公の父親なんだけど、

出てきたと思ったら、だんじりから落ちてしまいます。

僕はだんじりから落ちて、死んだんだと思っていました。

お、いきなり出てきて、いきなり死んだ、と。

そのだんじりのシーンが終わったら、

主人公の一家は岸和田から大阪に引っ越していました。

だから、父親が亡くなってしまって、大阪に越してきたんだと、

思っていたんだけど、勘違いでした。

生きてました。豊川悦司

どうも、だんじりから落ちたショックから立ち直れず、

仕事も長続きしないし、賭け事ばかりやっている、

ということだったみたい。

要するに、だんじりから落ちてグレてしまったというわけ。

この辺の背景が全然分かりませんでした。

なんで、だんじりから落ちて、大の大人がグレてしまうのか。

なんで、岸和田から大阪に引っ越すことになったのか。

何か、見落としたかも知れません…。

そんなグレた様な父親は、

とりあえず置いといて、主人公エイジの物語は進んでいきます。

大阪に引越し、転校した主人公は新しい学校で、

カンノ君と呼ばれる不思議な女の子に出会います。

カンノ君は、吹奏楽部の部長にして、世界的なアーティストからも、

声をかけられる様な、スーパードラマーで、

まともな指導者のいない吹奏楽部で、独裁者の様に振舞っています。

エイジは無理やりの様に入部させられることになるんだけど、

入ってみると、カンノ君は決して独裁者ではなく、

指導者のいない吹奏楽部の支柱とも言える存在でした。

吹奏楽部で、エイジは、

大太鼓(と言うのか?)を、やることになります。

父親に対する反発を一方で抱えつつも、彼の身体には、

だんじりのリズムが根付いており、

そこから彼は太鼓に没頭していきます。

実は、彼のルーツとしてのだんじりのリズム、

というものが、ストーリーの中で重要なんだけど、

僕には、あまり良くわかりませんでした。

今ひとつ説得力に欠けるというか・・・

さて、この後のストーリーは大きく2つの山があります。

一つは、しゃしゃり出て来た音楽教師への反発から、

吹奏楽部が一致団結して、自分達が望む演奏を大会でやりとげる話。

この大会を最後に、カンノ君は、アメリカに行ってしまいます。

もう一つは、カンノ君がアメリカに行った後に、

主人公が、カンノ君とつながりのあるメンバーでバンドを作って、

そのバンドが学校の文化祭で演奏する話。

この映画、前半は、

カンノ君というのが、キーになるキャラクターで、

主人公に音楽という扉を開く導き手でありながら、

過去に傷を持っており、その為に、関西弁をしゃべらない、

という設定なんだけど、彼女のしゃべり方は、標準語でもなく、

なんと言うか、翻訳ものの一人称の青春小説の主人公の様な感じ。

(例えば、ヘッセとか・・・。うーん、ちょっと違うかも。)

そのしゃべり方で、

導き手としての強さといったものと、

彼女自身が持つ過去の傷も表現している。

難しそうな役でしょ?

見てると、なかなか落ち着かないが、

悪くないなと思って見ていたわけです。

ところが後半、カンノ君が、アメリカへ行ってしまってからは、

話が突然、なんというか矮小になってしまったように思います。

後半の話は、どこにでもあるバンド少年の話で、

自分達の責任で困ったことになって、どうしようと言っているだけ。

これは、十?年前の僕の高校時代と同じじゃん、と僕は思いました。

あの頃、確かに、文化祭で演奏することが、

何かとても重大なことだったけど、今考えるとたかが文化祭。

まあ、どんな事でも、『たかが』と言ってしまえば、

それまでで、世の中に大切にすべき事なんかなくなってしまう。

だからそれを否定する気は無いんだけれど、

前半に較べて、つまらなくなった後半でした。

というわけで、

今ひとつという感想のこの映画でした。

でも、今日は、あれこれいろいろ書いているよね。

ということは、なんだかんだ言って結構楽しんだ、

と言えるのかも知れません。

”青春”というのは恥ずかしいもので、

それだけに素直になれないというか・・・

さて、今日はこの辺で終わりにします。

来年は、だんじりくらい見に行きたいものです。

では、また手紙を書きます。

今度、一緒に映画を見に行こう。

■公式サイト

http://www.beatkids.com/

 

 

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solaのえそらごと : 予告編「ビートキッズ

http://blog.goo.ne.jp/isola_usola_esola_osola/e/
ddfe98d2cdabf3a6cb459e55dcf4c3e1

くされるひび。 : ビートキッズ

http://kara-hi.seesaa.net/article/2468773.html

未完の映画評 : 【随筆】『Beat Kidsビートキッズ)』公開日決定!

http://tonomi.cocolog-nifty.com/cinema/2005/02/beat_kids.html