LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

イル・ポスティーノ IL POSTINO/THE POSTMAN

前略、元気ですか?
この間は、僕もちょっと、
風邪をひいていたけど、もうよくなりました。

風邪で、いつもより早く帰り、
時間がありそうだったので、DVDを借りてきました。

「イル・ポスティーノ」という映画です。

何故これを借りたかというと、
この間の「ディーバ」は、郵便配達が主人公だったでしょ。
それで、その次の「岸辺のふたり」では、自転車が出てきました。

この「イル・ポスティーノ」の主人公は、自転車で郵便配達する人です。
連想が働いて、この映画を見ようかな、と思ったわけです。


ところで、僕はこの映画を見るのは初めてです。
以前に公開された時は、原作を既に読んでいて、
是非、見に行こうと思ったんだけど、公開後1ヶ月くらいしてから、
銀座の映画館に見に行ったら、たくさん人が並んでいたので、
なんだか嫌になって帰ってしまったんだ。

だから原作は読んでいるけど、映画は見ていないんです。

 
風邪で多少ボーっとした頭で、見始めました。
まず、感じたのは、画面がとてもきれいだということ。

イタリアの小島の情景が、明るく、美しく映っています。
ノートPCの液晶画面で見てるんだけど、なんか他のDVDと違う。
やっぱ映画館で見るべきだったかも知れない。

漁業だけが、産業だというような、
イタリアの小さな島にマリオという男が住んでいます。
(原作では若者だったけど、映画では結構歳をとって見えます。)
彼は、船に乗るのが苦手で、漁師の仕事はできそうにない。
かと言って、他に良い仕事もない。

そんな時、チリの有名な詩人パブロ・ネルーダが、
思想的な理由から、国を追われて、その島に、やってきます。

そして、マリオは、郵便配達の仕事をすることになります。
世界中からネルーダに届く手紙を配達することだけが唯一の仕事です。


それから、マリオと、ネルーダとの交流が始まります。
このあたりから、ユーモラスに話が進んでいきます。
ネルーダとのかかわりがきっかけで詩に興味を持つマリオ。
マリオがベアトリーチェという娘に恋するけれども、
ネルーダに彼女に贈る詩を書いてくれと頼んだり、
マリオが彼女に贈った詩を見た、ベアチリーチェの母親が、
ネルーダのところに、怒鳴り込んできたり...

そんなこんなで、マリオとベアトリーチェは、
ネルーダを立会人として、結婚します。

そんな風に、美しい島で、
彼らの友情は育まれますが、別れの時が来ます。
ネルーダは、チリに帰っていきます。

ネルーダが帰った後、島に残された人々は、
もう、彼は自分達のことを忘れてしまったのではないか、
と感じたりします。島の生活は相変わらずだし、
一方、ネルーダは有名人で、華々しく活躍している様に見えます。

そんな中、マリオは、
ネルーダへの感謝の気持ちを込めて、
あるものを作り始める。

「あなたが帰った時、
 すてきなものはみんな持って帰ったと思った。
 でも、本当はいろんなものを残してくれたんだ。」


・・・・・

実は、話はあまり盛り上がらないんだけど、
いろいろなシーンや、ひとつひとつのシーンの登場人物の心情が、
心に残る映画だと思いました。

映画の中では、あまり物事の深刻な面は、
クローズアップされてなくて、なんというか、
心温まるような部分を抽出して描いたという感じで、

見ていて、本当は、もっと深刻で大変なことがあるだろ、
という気もするけど、映画の最後には、悲しい結末が待っていて、
生きることの哀歓を、切なく、素敵に描いた映画といえるんじゃないか、
と思いました。


ところで、この映画、インターネットでいろいろ見てみたら、
あまり、褒めてる人がいないんだ。寝ちゃったという人が結構いたり。

僕は見始めた時は、
風邪のせいで微妙に寝てるような状態だったかも、知れないけど、
最後には、結構ひきつけられました。
僕としては、とても良い映画だと思いました。

やっぱり、映画には、
人の気持ちを描いて欲しいし、
そういう意味では、この映画はとても素敵だと思います。

マリオとベアトリーチェの恋する気持ち。
ネルーダの為に、あるものを作る、マリオの心情。
最後のシーンでのネルーダの気持ち。

君はどう思うでしょうか?


では、また手紙を書きます。
今度一緒に映画を見に行こう。


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