LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

ディーバ DIVA

前略、元気ですか?
この間ひいたと言っていた風邪は治っただろうか?

まだまだ、冬だね。からだに気をつけて。


この間、ブルース・ブラザーズ、コミットメンツと、
ソウルミュージックが出てくる映画のことを書いたけど、
今日は、別の音楽の出てくる映画のことを書こうと思う。

君は、オペラを見に行ったことはある?

僕はないんだけど、新宿に、
東京オペラシティというのがあって、 
一度は行ってみたいと思っていたんだ。

オペラと言って僕が思い出すのが、この映画。
ジャン・ジャック・ベネックスという監督の「DIVA」。
「ワリー」というオペラのアリアが出てきます。
僕の好きな映画のひとつなんだ。

君は見たことあるかな?
この映画は、いろいろ褒める人が多いけど、
じゃあ、どこが良いのか説明しようとすると、うまくできそうにない。

すくなくとも、ストーリーじゃないと思うんだ。
だから、ストーリーを書くのはやめようかと、
思ったんだけど、そうすると、どんな映画か全然分からないか。

だから、はじめの方だけ書きます。

パリで、郵便配達をしているジュールという少年は、
シンシア・ホーキンスという歌手に憧れている。
郵便配達のバイクにテープレコーダーを取り付けて、
シンシアの歌を聞いているくらい好きなんだ。

シンシア・ホーキンスは、黒人の女性歌手で、
自分の歌を録音もさせないし、レコードも出さない。
彼女の歌はコンサートでしか聞くことができないわけ。

ジュールは、シンシアのコンサートで、
ひそかに彼女の歌をテープに録音し、楽屋から、
彼女の衣装を盗んでしまう。
そして、自分の住みかで、彼女の歌を聞く彼。

そんなジュールが、仕事中、ある女性と鉢合わせする。
実はその女性は、売春組織の黒幕の情婦だったが、
その黒幕のことを暴こうとして、追われている。
駅で、逃げ惑う彼女。結局殺されてしまうが、その寸前に、
彼女は、黒幕のことを吹き込んだテープをジュールのバイクに隠す。

ジュールが持つ2本のテープ、
シンシアのアリアのテープと、
人身売買組織の黒幕を暴いたテープ。
これらを巡って、台湾の海賊版レコード会社の怪しげな連中、
売春組織の殺し屋達、そして、警察が動き出し、
ジュールの身に、いろいろな災難が降りかかる...

という感じです。
ギャングとの追いかけっこあり、ジュールとシンシアの恋もあり、
組織の黒幕は誰か?というミステリーもあり、そして、
現れる助っ人。
なんか良くできた2時間ドラマみたいなストーリなんだ。

いや、もちろん、良く考えられたストーリーで、
決して安っぽかったりするわけじゃないんだよ。

ただ、こうして説明しようとすると、
そんな感じになってしまう。


じゃあ、その映画、どこが良いの?と思っているよね。


登場人物が魅力的なのかな?

うーん、そうかも知れない。そうでもないとも言える。
ジュールがレコード店で知り合う、東洋の万引き少女、アルバ。
アルバと暮らす、「波を止めることを夢見る男」ゴロディッシュ。

この2人は、
実は僕が初めてこの映画を見た時の印象は、
なんかステロタイプな東洋趣味、そして神秘主義という気がして、
あまり、良くは思わなかったけど、この映画の雰囲気を形作るという
意味では、重要かな、と思う。

そして、シンシアとジュール。
この2人は、恋をします。
2人の恋は、なにか、とても素直に相手を好きになる恋で、
とても魅かれるものがあると思う。
こんな風に人を好きになるのって良いな、と思う。


映像の美しさと面白さが良いの?

うん、映像はとても良い。
青がとても印象的です。

特に、シンシアとジュールがデートする場面は、
まるで、音の無い世界で絵を見ているように錯覚させられるよ。
とても美しいと思う。

うん、そうだ。僕は多分この映画、
この2人のデートのシーンが一番好きだな。


凱旋門の向こう側を行く、
シンシアの日傘を持つジュールと彼女。
2人が見上げる、凱旋門の彫刻『出発』。

公園に立つ彫刻を見るシンシアと、
シンシアを見て微笑むジュール。

道の向こう側を歩く2人。
まだ、車のあまり通っていない道を渡る2人。
後ろに続く石造りの町並み。

公園の池のほとりに並べられた椅子に、
距離をとって、背中合わせに座っている2人。

シンシアのそばに移り、
そっと彼女の肩を抱くジュール。
一瞬見つめ合う2人。
シンシアの微笑み。
2人が見上げている木々たち。

ならんで、楽しげに歩く2人と、
その向こうにかすむエッフェル塔


どう?
まあ、文字を読んだだけじゃ分からないかも知れないけど。

そうだよ。
文字だけじゃわからないんだから、
もし、良かったら、是非見てみてよ。


そして、2人でこの映画の話をしよう?
2人でさ、この映画の素敵なところを挙げていくんだ。
そしたら、僕がなんでこの映画が好きなのか、きっと分かるよ。
そして、君もこの映画が好きになるかも知れないよ。

どうかな?
OKしてくれるかな?


というわけで、言葉足らずで申し訳ないんだけど、
今日はもう終わりにします。

また、手紙を書きます。
良い返事を待ってます。

では、また。


ディーバについてのサイト
http://kzy.com/diva/
http://www004.upp.so-net.ne.jp/actrices/diva.htm#diva


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