LM * The Letters about a MOVIE.

映画に関する君への手紙。

ザ・コミットメンツ THE COMMITMENTS

前略、元気ですか?
僕は元気です。

この前、電車の中で会った、
神の使者のことを書きましたが、
今日は、別の神の使者のことを書きます。

ところで、電車の中と言えば、今日は、
仕事のコトを考えながら電車に乗っていて、ふと気付くことがあって、
まあ、仕事上の自分の勘違いに気付いて、「あ、そうか!」と思ったんです。

ところが、思っただけで止まらずに、
声に出して「あ、そうか!」と言ってしまいました。

週末なのに出勤と思われるサラリーマンも、
これから遊びにいくらしい、もしかしたら、
映画でも見に行くのかも知れないカップルも、
デパート帰りと思われるおばちゃんも、

みんな、一斉にこっちを見ていました。

恥ずかしい・・・。

独り言、思わず出てしまうことがあるよね。
恥ずかしいものだけど、今回の神の使者、
独り言、というか、独りインタビューが大好きです。

バスタブにつかりながら、シャワーをマイク代わりに、
インタビュアーと自分との一人二役です。

「ジミー、これ程ビッグになると思っていたかい?」
「そりゃ思っていたよ。最初からね、テリー。」
「それはストーンズくらいかな?」
ストーンズ?そりゃ誰だ?」

アイルランドのダブリンに住む若者達が、バンドをつくる映画なんです。

ダブリンに住むジミーは、
友人達がやっているバンドのマネージャーを、
やることになるがそのバンドがやっている音楽が気に入らない。


「どんな音楽をやる?」
「俺達は労働者階級だ。だったら労働者のルーツを歌った曲をやる。
 労働者の言葉で訴える闘いやセックスの歌だ。センチなのは駄目だ。」
「すげぇ!そいつはどんな音楽だ?」
「ソウル」
「ソウル?」
「そうだ。ダブリンのソウルだ。」

そして、新聞広告でメンバーを募集し、バンドが結成されます。
メンバーには、エルビス・プレスリーや、ネルソン・ピケットなど、
有名なシンガーのバックでトランペットを吹いていたというジョーイもいます。
そして、色っぽいおねえちゃん3人のコーラス隊も。

このバンド、ジョーイによって「THE COMMITMENTS」と名付けられます。

「やるのはソウルだ。
 アイルランドにはソウルが要る。
 ソウル(魂)があれば、国民同士の争いもなくなる。」

彼らは、ダブリンに魂を伝える神の使者というわけです。

こうしてバンド活動が始まるけど、
最初はいろいろ苦労します。楽器や練習場所を確保したり、
ライブステージで感電事故が起こってしまったり。

でも、新聞に採りあげられたりして、結構順調に進んでいく。
独りインタビューをしていたのが、ちょっとだけ現実になります。

「ジミー、結成のいきさつを。」
「運命だ。バンドには使命がある。
 ダブリンに魂を呼ぶ。労働者の音楽だ。」
「次のステージはいつ?」
「ソウルゲリラだからな。演奏し、暗闇に消える。」

そして、ついに、ジョーイのコネで、
ダブリンに来たネルソン・ピケットと、共演するという話が持ち上がるが・・・

この映画、僕は大好きなんです。
とても素敵な青春映画になっていると思う。

そして、バンドのメンバー、実際に楽器が出来る人を
オーディションで集めたらしく、演奏はもう、しびれる。カッコイイ。

そう言えば、君は中学生時代に、
ブラスバンドでサックスを吹いていたと言っていたよね。

この映画絶対オススメ。是非見て欲しいです。

「振り返ると、バンドで学んだことは何だい?ジミー。」
「難しい質問だな。だがこうだ。
  ”ファンダンゴに乗せてぐるっと回転した。
  めまいを覚えたが、お客はもっと要求する。”
─。」
「意味ありげだな。どういうことなんだい?ジミー。」
「さっぱりさ、テリー。」

では、また手紙を書きます。

今度、一緒に映画を見に行こう。
今日はこの辺で。